みなさん、こんにちは!
昨日投稿する予定だったのですが、お昼ご飯食べたら眠くなってしまって投稿が遅れてしまいました…(;^_^A 申し訳ございません。
さて、読書感想文!
お初の作家様、綾辻行人氏です!
ミステリー作家で、「館シリーズ」や「Anotherシリーズ」など数あるホラー推理小説を執筆し、日本のミステリーを語る際、スルー不可避な人物です。
「新本格ミステリー」ムーブメントの中心的存在で、本格ミステリー界では「綾辻以降」といわれる、クローズドサークルもので古典的本格推理小説の人気を復興させました。
ここで新本格ミステリーはなんぞや?という方もい多いでしょうから紹介しましょう。
推理小説というジャンルは、江戸川乱歩などの登場で有名になりましたが、第二次世界大戦の影響で暫く鳴りを潜める事となりました。
しかし戦後、現実的なリアリズムを導入した松本清張に代表される社会派推理小説が時代の流れと共に人気となり、『古めかしい館に閉じ込められたり、探偵が出てくる』という古典的な本格推理小説は下火となっていきます。
一時期は不遇の時代を送る本格派も、角川映画「犬神家の一族」が大ヒットを打ち出した影響もあり、次第に復興しました。「新人作家は現れないけれど著名なベテラン作家は何人か挙げられる」という状態にまでなりました。
そんな時代に、綾辻行人史はデビューしました。その後は、まるでデビューを待ち続けていたかのように、1980年代後半~1990年代前半にかけて、現在も有名な推理作家が多数デビューし、若い読者の熱狂的な支持を得て、一躍世間の注目の的となりました。
これが、所謂「新本格ムーブメント」です。
特徴は、作風ですね。
綾辻氏が台頭する以前、所謂、本格推理小説はある種の断層があります。
特に横溝正史の小説に見られるような、たぎるような人間の情念や日本人の土着性といった要素が多かったのですが、綾辻以降はかなり薄いです。言わば、人間というより推理を目的としたストーリー調です。
綾辻氏の世代の書き手たちはまだ20代で独身者が多く、実子もいない状態で書いていたと思われます。描かれる世界も同世代同時代を描いたものがほとんどです。
このため、新本格は全般的によくも悪くも軽快な印象を与え、親近感が湧きます。
例えば、昭和のムード歌謡や演歌に対してニューミュージックやJPOPといった音楽が栄えるのと同じ構図です。
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本題に入りましょう。
綾辻氏の作風は、主に以下の二点です。
・物理トリックよりも叙述トリックを得意とし、多くの作品にストーリー構図を大きく転換させるどんでん返しが見られます。
・ホラーや幻想文学の影響が色濃く、ミステリーだけではなくホラー作品を多く著しているほか、本領のミステリー作品において心象描写の多い叙情的な文体を用いています。
私が驚いたのは、主人公で、推理小説には欠かせない探偵という役の人物が、とても人懐っこい性格であること。思わずクスッと笑ってしまいそうになる人物で好感がもてました。
あいにく、『館シリーズ』二作目からしか読み始めてないので、完全なる初登場は存じ上げないんですが、この「水車館の殺人」における、探偵・島田潔の初登場のシーンは何と言っても爽やかで、軽い!!←www
頭の中が【?】でいっぱいになりました(笑)
私の探偵のイメージは、お堅く、お高い、融通も利かず、犯人を追い詰める為には手段を選ばないような人。
名探偵コ〇ンや金〇一少年の事件簿などのような、お軽い性格の人物も居るのは百も承知でしたが、彼らのようでも無いどこか、奇才な性格だと私は考えます。
しかし話が進むにつれ、館に囚われた人達に対する接し方がとても冷静で物怖じせず尚且つ丁寧な話し方が好感を持てました。
では、恒例、あらすじをどうぞ……
古城を思わせる異形の建物「水車館」の主人は、過去の事故で顔面を傷つけ、常に
仮面をかぶる。そして妻は幽閉同然の美少女。ここにうさんくさい客たちが集まった
時点から、惨劇の幕が開く!
密室から男が消失したことと、一年前の奇怪な殺人とは、どう関連するか?
驚異の仕掛けをひそませた野心作。
(裏表紙に記載されたあらすじから引用)
怖くないですか?
仮面を被った主人……
幽閉同然の美少女……
密室から消失した男……
このパワーワードよww 最強すぎて怪しすぎます!
十津川警部ぐらいしか読んでこなかった私からすれば新境地なストーリー展開ですぐに引き込まれましたね。
地の文もとても勉強になり、その多くの言い回しを参考にさせて頂きました。
やっぱりはっきり言って、西村京太郎氏は簡易で安易すぎる地の文でしたね(笑)
話が逸れました、続けましょう。
物語は、岡山県北部にある、町から一時間余りの悪路を通った山間に建つ古城「水車館」を舞台に、嵐に閉じ込められた8人の男女(女性:2人 男性:6人(過去篇では男性1人加えて9人)が登場人物。
館の主人・藤沼紀一(ふじぬま きいち)の亡くなった画家である父・藤沼一成(ふじぬま いっせい)の遺した幻の絵を求める三人のマニアたち。そこに、過去の事件で突如として姿を消した友人に嫌疑を掛けられている事に疑問を感じた島田潔は、探偵として自ら呪われた館に足を踏み入れる。
前作「十角館の館」においても見事な推理を披露した島田は、十角館を建てたというからくり趣味の中村青司という建築家に陶酔していると言っても過言では無く、「水車館」を訪れたのも、彼の言葉を借りれば「偶然」とのこと。(改めて言うまでもありませんが、この水車館も中村青司の成した傑作)
1986年と1985年という、現在と過去を交互に物語が織りなされ、その過去を島田潔が聴取し事件の推理と解明を現在で披露するという、一見ありきたりな推理小説に聞こえますが、そんな簡単な事ではありません。
先程、冒頭で言った通り、【叙述トリック】が凄まじいんです。
なるたけ自分の言葉でこの感想を述べようにも、私の稚拙なボキャブラリーではなんとも安易そうな推理小説に聞こえてしまうのが残念でなりません。
とにかく、何が言いたいかというと、『実際に手に取って読んで見てください』という事。
叙述トリックというと、
登場人物の一人がニセモノ
性別錯誤
過去の話かと思ったら現在進行形
建物の構造の読者に対して明かされていない秘密の抜け道
……等々
当時(1980年代)としては禁じ手らしいです。
人によっては「読者を欺いてる」「だましている」「アンフェア」だと感じる人が居たそうですが、それを好むファンや愛好者は多く、それが主流化したそう。
ドラマや映画、アニメだと、真犯人の姿が後になって明かされるなり、まさかの人物が真犯人という展開が簡単に表されてますが、小説だとその書き方が難しいというのもあるので、高度な地の文の書き方やストーリーの構想の緻密さも、念入りな事実確認等の力が必要となります。
「えーー???こんなんアリかよーーー?!!」
という展開が新本格の作風なのです。
(私はというと、我慢出来ずに他の読者様によるネタバレ感想ブログを読んで、犯人を突き止めて納得しながら最後を読みました(爆)ネタバレを受けても大丈夫な性格で、むしろネタバレどんと来い派なのですが、苦手な方は要注意です)
如何だったでしょうか?
多少なりとも、綾辻ワールドの事が気になったのではないでしょうか?
少し凄惨な殺害方法が多かったりするので、ホラー苦手な方は注意ですが(実は私も苦手……汗)、どんでん返しが好きな方はきっと楽しめると思います!
母が持っている版は2000年や1990年代の版がほとんどなのですが、現代の書店では新装改訂版が出回っているようなので、面白く読めると思います!
私も機会が合ったら、改訂版も揃えて読んで見たいと思います!!
(このブログを書く直前、続作である「迷路館の殺人」を読了しました。また読書感想文を紹介しますね!)
感染拡大が続いています。
皆さんも対策をして、ご注意ください。