自称:小説家 翔子の日常

こちらは、執筆家としての日々の悩みと、投稿完了の報告を綴っていくブログです

読書感想文:「迷路館の殺人」 綾辻行人

みなさん、ご機嫌如何でしょうか?

私は元気です。

 

さて、今回も始めて参りましょう、読書感想文!!

 

まず感想を述べる前に、あらすじを記載します:

 奇怪な迷路の館に集合した四人の作家が、館を舞台にした推理小説の競作を始めた

 とたん、惨劇が現実に起きた!

 完全な密室と化した地下の館で発生する連続殺人の不可解さと恐怖。逆転また逆転

 のスリルを味わった末に読者が到達する驚愕の結末は?気鋭が異色の構成で挑む

 野心的な長編本格ミステリー。

                                                    (裏表紙に記載されたあらすじから引用)

               
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京都の丹後半島の奥へ分け入った集落の外れにその「館」がある。

 

玄関には洞窟の入り口を思わせるちっぽけな祠が建てられており、広大な迷路が地下に張り巡らされているとは誰が思うだろう。

石扉の前には格子扉が掛けられており、鍵を持つか中から開けて貰わなければ入る事は叶わない。

館の食事掃除一切を担うお手伝いの角松は京訛りのキツイ無愛想な老婆であるが、主人から命令された努めを全うし、「稀譚社」の編集者で、宮垣氏の担当である宇多山とその妻・桂子、そして、路中で車のレギュレイターがイカれてしまったという、島田潔(しまだ きよし)を館に入れた。

この三人は迷路館の主である宮垣葉太郎(みやがき ようたろう)に招待された。

 

小説の序盤は作中作で始まる。我々が読んでいる「迷路館の殺人」とは作中の作家である鹿谷門実(ししや かどみ)のデビュー作『迷路館の殺人』を読んでいるという設定である。

この小説は作者自身が巻き込まれた実在の連続殺人事件を基にした推理小説なのです。

 

推理作家界の巨頭・宮垣葉太郎の還暦の祝賀パーティーに招かれた四人の推理作家、評論家、そして上述した宇多山とその妻、そして島田潔。

 

約束の時間を過ぎても現れない宮垣を待っていると、秘書の井野(いの)が神妙な面持ちで大広間に現れ、宮垣が今朝自殺したこと、残された遺書に従い警察には通報していないことを告げて来たのだ。

 

宮垣は一本のテープを遺していた。

そのテープの内容は、五日後まで、秘書の井野と医師の黒江以外は館を出てはならず、警察に通報してはならない。その五日の間に館に滞在する四人の作家は ”迷路館” を舞台に自分が被害者となる殺人事件をテーマとした、遺産相続者の審査・選別のための推理小説を執筆しなければならない。

最も優れた作品を書いた者には、遺産の半分を相続する権利を与えるというものだ。

 

驚愕しながらも、多額の遺産に目の眩んだ作家たちは各々執筆を開始する。しかし、候補作家たちは次々と、本人の書いた小説の見立て通りに殺されて行くのだった。

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小説の登場人物のおよそ半分が居なくなるこの小説。その死に方は千差万別ながら残忍であることは間違いなく、文字で読んでいるのに目を覆いたくなる程です。

 

しかも、全員が全員この地下の館に閉じ込められている形で物語が進むので、ご遺体と共に、生活する事を余儀なくされているのです。私がもしこの小説の登場人物の一人になったとしたら、間違いなく気が狂うでしょう。

ご遺体と一緒に同じ屋根の下に暮らすなど想像しただけでも震えて来ます。

 

ネタバレになるかは分かりませんが、この犯人の目的とそれに付随するポイントは、遺産と性の誤想です。

遺産を目当てに競い合う四人の作家以外にも、遺産を求める登場人物がこの中にいる事を把握しておくことが肝要だと思います。

更に、誰の事について性の誤想をしているかはもちろん言えませんが、我々読者が考える「こうであるべき」「こうであるだろう」という固定概念を覆す展開が待っている事は確かなのです。

 

しかしながら、年代が1980年代を舞台にしているからか、電話帳、ワープロ、フロッピーという、現在では見掛ける事が少なくなってきた ”懐かしい” そのワードに私は心が惹かれましたね。

ワープロは使った事は無いのですが、ネットに接続できるワープロのCMは観た事がありますね。現在では専ら、パソコンか手書きで書く事が多い小説ですが、当時としては最新鋭のワープロを用いていたのでしょうね。

フロッピーは私が小学校低学年(1~3年辺りかな)にはPCの授業で使っていました。だんだんUSBが台頭して行ったのにつれ、無くなって行きましたが。

電話帳は、廃れた訳ではありませんが少なくなりましたね。自治体から年始になると贈られるタウンページがメジャーですね。

 

これらを懐かしく感じると時間の経過を感じざるを得ませんね。

きっと、現在のスマホタブレットも、未来の人たちからしたら ”古い” と位置付けられてしまうんでしょうね。

 

話が逸れました。すみません。

 

迷路館の殺人」は最後にはどんでん返しと衝撃的な真実を突き付けられ、とても面白く終わると思います。人によっては「モヤモヤする」という声がありますが、個人的にはスッキリとしましたね。

是非、読んでいない方是非、お手に取ってみてください!

 

次は、第四作である「人形館の殺人」です。

母から、返さなくていいと言われたので慌てずゆっくりと読んで、また読書感想文を書いて行きますね?

 

では、またよろしくお願いします!

 

お元気で。

 

P.S.

綾辻ワールドに足を踏み入れてからか、今住んでる自分の家が、中村青司が建てたからくり屋敷だと感じるようになり、とても恐怖を抱いています。

いつ誰が侵入し、殺されてしまうのではないかと……。

まぁ、ただの想像力豊かな作家の妄想なんですけどねwww