自称:小説家 翔子の日常

こちらは、執筆家としての日々の悩みと、投稿完了の報告を綴っていくブログです

読書感想文:「新参者」東野圭吾

皆さん、こんにちは!

 

翔子です。

 

2月になりました。

申し訳ございません、開始早々謝罪致します。

まったくもって本を読めていませんでした。

 

理由……というか言い訳といいますか、丸々1ヶ月間ずっと忙しく過ごしていたのです。

現在、「大奥~牡丹の綻び~」に手を加えておりまして、まったくもって駄作過ぎて恥ずかしいかぎりです。

それなのに読んでくださった方もいらっしゃるので本当に感謝でしかありません。

 

改訂版の「大奥~牡丹の綻び~」は長くなってしまいますが、再公開するまでお待ちくだされば嬉しいです。

 

では、参りましょう。

先日の投稿で申し上げました「新参者」の読書感想文を書いていきたいと思います!

 

以下あらすじをどうぞ:

 

 日本橋の片隅で一人の女性が絞殺された。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎の前に

 立ちはだかるのは、人情という名の謎。手掛かりをくれるのは江戸情緒残る街に

 暮らす普通の人びと。「事件で傷ついた人がいるなら、救い出すのも私の仕事です」。

 大切な人を守るために生まれた謎が、犯人へと繋がっていく。               

                 (裏表紙に記載されたあらすじから引用)

 

2004年8月号の小説現代講談社初出。

以後5年間にわたって9作の短編が同誌に連載され、そこから2009年9月18日に講談社から単行本が刊行。

2013年8月9日に講談社文庫版が発売されました。

手元にあるのは、2022年4月7日第28刷版です。

 

『加賀恭一郎シリーズ』8作目であるこの作品。

日本橋周辺(人形町小伝馬町)を舞台に物語が展開され、刑事にしてみればシャツの上に半袖シャツを羽織るというラフな格好で聞き込みを行う変わった見た目ながら、持ち前の人懐っこさや時折白い歯を見せて捜査をするその姿に町の人間は心置きなく捜査に協力的になる。

 

その着姿に上司は舌を巻くも、彼がこのような姿でいるのは、スーツだと警戒心を持たれてしまい、関係者もとい証言を得ずらいと考えたうえでの行動なのです。

 

一見、事件に何ら関わりが無いということでも、加賀刑事は追求することを止めない。

新しいキッチンバサミがあるにも関わらず購入された新品のキッチンバサミ。

現場に残された一つだけに入れられたワサビ入りの人形焼き。

被害者の元夫が匿う女の正体と不倫疑惑。

桜の柄が施された贈り物らしき夫婦箸。

時計屋主人の謎の言動と行動と犬。

上司の刑事に隠された思惑。

保険外交員の空白の時間。

廻らない独楽の謎。

誤解。

 

ただし、関わりが完全にないとは限りません。それによって被害者が殺された時間や状況を明らかにされる証拠にもなるのです。誰もが無駄だと思って見落とすシーンは実は無駄ではないという、加賀刑事の刑事力を感じられます。

 

物語の運び方は、元は連載小説の短編を集めて成された一つの作品であるからか、それぞれのタイトルの人物がメイン・語り手として描かれており、その人物の事情や悩みがポロポロと読者が知るところとなり、同情に思わない瞬間はありませんでしょう。

 

『加賀恭一郎シリーズ』といいながら、加賀刑事が完全なる主人公というわけではないということをまざまざと押し付けられる気分ですね。

もちろん、本質はミステリーであるため、各章で起きた様々な謎などを加賀が解決していくというスタイルが、決められたセオリ―です。

 

そのスッキリする感覚が、読者に爽快感を与えたのか、このミステリーがすごい! 2010】並びに週刊文春ミステリーベスト10】で1位を獲得したわけなのかなと推察します。

 

 

2010年4月期にTBSにて同名ドラマ化されました。

主演は阿部寛氏。

ガリレオ』『流星の絆』同様、ドラマを先に観たため、そのイメージが強く、読んでいて阿部寛さんの顔ばかり出てきました(笑)

まあ、ほとんどのキャラクターがそのドラマの役者さんに重ねてしまいましたけれど。

 

小説とドラマの違いといえば、ホント細かいところですね。

 

ドラマではいつも傍に、溝端淳平さん演じる松宮脩平(まつみやしゅうへい)という若い刑事もとい加賀の上司で従弟がいるのですが、今作では登場しません。『加賀恭一郎シリーズ』に初登場するのは前作の『赤い指』からです。

 

黒木メイサさん演じる青山亜美が原作ではとある人物の恋人役という一キャラクターでしかないのですが、ドラマでは、加賀の大学の後輩でありタウン誌の記者という設定。

 

その他にも、章ごとの大まかな展開や設定、構図がわずかに変わっていたりするのですが、なんら違和感は感じませんでした。……って当たり前か。

 

終盤のシーンについて少し一言……

 

犯人の供述記録が地の文(?)台詞地の文(?)みたいのがつらつらと書かれていました。まるで我々読者が、実際の供述を読んでいる、または聞いている感覚がありました。

あれはなかなか長ったるいというか、何度も空を見つめました。「長っ!」って(笑)

それが東野圭吾氏の仕組んだ書き方なら文句はもう言いませんが、あれが正しい方法なのかどうか怪しいものですね。よく、地の文を参考文献として拝借することがあるのですが、これは参考に出来ませんね。

 

私だったらこう書きます:

加賀と他の刑事たち同士で証言の掛け合いみたいなので展開される真相と犯人の供述という運び方。であれば面白く読めたんではないかと思いました。

まあ、人によっては真相を知りたいというのが第一なのでしょうね。

 

愚痴ってしまいました。失礼しました。

 

今月2月は1月よりも忙しくなりそうですので、しばらくは投稿できないかもしれません。ご了承ください。

 

追々、その訳についてまた投稿します!

 

では、それまでお元気で!