自称:小説家 翔子の日常

こちらは、執筆家としての日々の悩みと、投稿完了の報告を綴っていくブログです

読書感想文:「氷の淑女」シドニィ・シェルダン (微ネタバレ有)

みなさん、遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。

 

正月から目まぐるしい出来事が起こり、大変心を痛めております。

どうか、被災に合われた方々にとり、平和が取り戻されることを祈っております。

 

さて、昨今、小説執筆に力を注いでいます。書きすぎて頭がボーッとするほどです。

これぞ、【執筆ハイ】と呼ばれるものなのでしょうか?←

改めて言いますが、私は海外生まれで、日本の学校教育で国語を受けておりません。なので小説を書く際は、必ず模倣的な文章を頭に入れなければ書けないのです。

これは徐々に慣れて行くものなのでしょうが、今のところはそういうルーティンを続けています。

 

執筆に難航すると、どうしても小説を読みたい衝動にかられるので、今度もまた、シドニィ・シェルダン「氷の淑女」を読みました。一週間の内に読み終えられました。

つい先が気になっちゃうんですよね、シドニィ・シェルダンの作品って。

六冊目になる今回。やっぱり面白いです。

 

「氷の淑女」は出版社が違うのであらすじがカバー袖に記されていたもので、引用させていただきます。どうぞ。

 

 広告代理店で働く美貌の野心家レスリー・スチュアートは、州知事を目指す

 ハンサムなオリバー・ラッセルと出会って、一目で恋に落ちる。

 選挙キャンペーンを闘うふたりは、やがて愛し合い、結婚を約束する。

 だが、挙式直前、オリバーは上院議員の娘と電撃結婚してしまう。彼は義父である

 上院議員の協力なバックアップを得て州知事となり、大統領への段階を昇り始める。

 一方、裏切られ、捨てられたレスリーは、新聞社の社主をその美貌で籠絡し、

 オリバーを追い落とすべく、メディア世界に君臨しようとする。

※こちらは上巻のあらすじです。下巻もあるのですが、物語の真髄に迫る内容のため、省きます。

 

─── ストーリーは、大体の小説を読んでいる人からしたら、すぐに展開が想像つく流れになっておりますので、すぐに読書感想と紹介に移ります。

……だからと言って、もちろん文は稚拙などではなく、展開がとても面白かったのでぜひご自身でも読んでみてください。

 

感想文:

上下巻を読んでいて、この小説のテーマというものが浮かびました。

”新聞(報道)が及ぼす影響力と、国を治める者の悩みと葛藤、そして人々の欲求”。

 

この小説には、三人の人物をメインとしてストーリーが進みます。

レスリー・スチュアート

オリバー・ラッセ

ダナ・エバンズ

 他にも、マット・ベーカーフランク・ロナガンという重要なサブキャラクターがいますが。とてもいいキャラ立ちをしていて、出番は少ない方ですが好きになる人物像です。

 

レスリー・スチュアートはIQ170の美女で、本作の主人公立ち位置です。

あらすじにもある通り、裏切った”オリバー・ラッセルを追い落とすため、手段を選びません。様々な新聞社を買収して大きくし、報道の発言力を増大させていく。どんなに社員から疎まれようと、自身の信念を曲げずに突き進む”野心の女”です。

しかし次第にその野心が仇となり、確信的事実を見過ごし、ただただ元恋人の破滅のために奔走します。

執念というものがどれだけ人間の理性を壊すかという現れと教訓を与えてくれます。

 

オリバー・ラッセは、最初はそのキャリアをケンタッキー州の弁護士から始め、州知事・いずれ大統領になる男です。

地位もさることながら、小説の描写によれば「すごいハンサムで、くせ毛の黒みがかった髪に黒い瞳、運動選手なみの筋肉質の体格、それに人の心を溶かすようなあたたかい笑顔……」とあります。

彼は物語のキーとなりますが、見た目に反して少し難癖のある人物であります。根は真面目だということは分かるんですけどね……ね?←

 

そして、最後にダナ・エバンズ。陸軍大佐の娘で、幼いころから基地を転々とする生活を過ごした外向的な女性。ところが13歳になって両親が離婚。都会に住んでからは彼女の心に物足りなさが生じ、広い世界を廻る海外特派員を目指すことになるのです。

次第に、記者→ニュースキャスターを経て、念願の海外特派員に。場所はサラエボ。世にいうボスニア・ヘルツェゴビナ戦争」の現場へ向かう。そこには想像も絶する光景が広がり、ダナは一時期ヒステリー気味になり、アメリカへ戻されるが、ダナは持ち前の根気強さととある男性との出会いによって、レポーターとしての仕事を続ける。物語の解決を担う人物となります

紛争地で出会った片腕の無い少年との物語は、シリーズの第三作で主人公となって登場する。

 

ここで微ネタバレですが、とある登場人物が、とてつもない欲求を持って生きています。それが己の立場を危うくさせるとも知らず、突っ走ってしまう描写には身の毛がよだちました。なにせ悪いとは思ってないんですもの。完全にそいつが悪いのに←感情的w

この人物を描く際、シドニィ・シェルダンにしては珍しく(?)、叙述トリックめいた文がありました。下巻に真相が出てくるのですが、思わず上巻を見返したほどでした。

さすが良く練っている内容です。

 

ざっと紹介するとこういう感じです。

色んなバックストーリーを知ることで登場人物に感情移入が出来ますね。

 

”人間”の薄汚い面と素直さが全面に散りばめられているのが特徴のシドニィ・シェルダン──。

とてもリアルで、ストーリーとキャラたちに直接関わりのない登場人物たちでさえ、緻密で詳細的な描写があります。思わず共感させられるほどです。

「あぁ、こういう人たち、いるわ(いそうだわ)」と。

ただ、誰がだれと繋がるのかどうか分からないのが小説です。読み進めていく内に、突然、関わるかもしれないって考えると、とても綿密に組まれているのだなと感じます。

 

私は、ただの趣味としての小説読者ではなく、完全に小説執筆者目線で読んでいます。どの立場で読んでも面白いのが小説ですが、こういう面白い小説を書き続けたいです。

 

Ambitious Womenシリーズ

この作品は、シドニィ・シェルダンのAmbitious Women(直訳: 野心的な女性)シリーズに当たります。先ほどWikipediaを見て気づきました(笑)

このシリーズの第一作は、私が以前読んだ「星の輝き」です。そう、あの若き情熱の不動産家: ララ・キャメロンが主人公の作品です。

この、「氷の淑女」はその次作目に当たるので、ファンサ(?)として、ララ・キャメロンの名前が登場します。

 

第十六章 九行目(一部抜粋)

~ このホテルは、かなり昔、ラーラ・キャメロンという起業精神に富む若い不動産業者によって建てられたものだ。~

        翻訳者によって名前の差異があります。

名前を見たとき、一瞬判断に戸惑いました。が、知ってる名前が小説に登場するととてもうれしいものですよね。

「星の輝き」の舞台は確か、七十年代から九十年代。「氷の淑女」に登場した ”モンロー・アームズ” が出て来たのかどうかは分かりませんが、ララ・キャメロンがこだわって建てたこのホテルが衝撃の現場になるなんて、本人も読者も思わなかったことでしょうね?

 

最後に……

これは、前も言ったのかどうかは定かではありませんが、シドニィ・シェルダンの描く女性像はとても勇ましく、”自分”を持っている人物が多いと見受けます。

どんな試練が主人公に降りかかろうと、立ち上がり、己の信念を信じて行動する。

登場人物に憧れを持つ読者もいることでしょう。

 

ちなみにですが、私が読んできて一番好きな主人公は「ゲーム達人」のケイト・ブラックウェルですかね。あんなに強くて、カッコいい女主人公は見たことがないです。

 

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次の読書感想文の予定は、再びシドニィ・シェルダンになると思います。

たくさんのシドニィ・シェルダン作品を母から譲り受けたので続きます。

 

では、また!