自称:小説家 翔子の日常

こちらは、執筆家としての日々の悩みと、投稿完了の報告を綴っていくブログです

読書感想文: 「星の輝き」シドニィ・シェルダン (終盤のネタバレ含みます)

こんにちは!


10月ごろから先ほどまで、シドニィ・シェルダンの著書を読破しました。

話によく聞くに、一気に物語に惹きこまれてしまいますね。私生活に支障をきたす恐れがあるので自重するのに精いっぱいでした(笑)

 

今回ご紹介したいのは、シドニィ・シェルダン「星の輝き」です。

 

前回読みました、「明け方の夢ゲーム達人そして……この作品たちのどれよりも救いがある終わり方で、思わず感激しました。

 

まあ、その話は後半で…それでは、あらすじに参りましょう。

 

 星の瞬きは、ちまちまと生きる人間を見ての涙だという。他人様の金を利用する

 逆ピラミッドに賭けた怨念のヒロイン。愛唱する詩に導かれて理想の男性を

 追い求めるが、彼女の前に現れたのは…?

 無人のパーティー会場に立ち尽くすララ・キャメロン。世紀の傷害事件の糸を引く

 のは誰か? はたして神の裁きは?

 

物語は、グレースベイで小さな下宿屋を父と営んでいた(正確には手伝っていた)ララ・キャメロンが、シカゴ、ニューヨークと転々し、高名な建築家となったのち恋をし、周辺のとある人物から翻弄されて行く運命をたどる、波乱万丈の人生を描いています。

 

読んでいて思うのが、ララは頑固で負けん気が強く、次々とビルを建てていく向こう見ずな性格だと感じました。言い方を変えれば、野心家の人物なんでしょうね。

 

恋愛に関しても、初めて恋をし、スピード結婚を果たす。そのお相手は、ツアーコンサートを世界中で興行する有名なピアニスト、フィリップ・アドラー

 

グレースベイの家で、幼い頃に読んだ詩から出て来たようなフィリップに、ララはぞっこん。

二人の間を邪魔する者は全て排除する勢いの彼女で、興行をする夫に出来るだけツアーを少なくし、側にいてほしいと懇願してしまうほどだった。

 

しかし、夫の思わぬ出来事によって手首を負傷。ピアノを演奏できなくなった頃から物語は急転していきます。

まあ、そこからはぜひ、ご自身でお読みくださいませ。

 

今回の「星の輝き」シドニィ・シェルダンの作品にしては珍しく、性描写が少ないことに不覚にも驚きましたね。一切無いってわけではないです、不倫の描写もあったりしますしね?  ところが、ものすごく生々しい描写が多かった過去作品と比べたらば、社会情勢をメインに描き、建築家としての戦略や、他社からの憎み合い・貶し合い、身内の裏切り行為などが色濃かった印象でした。

 

それでは、ここからはタイトルにある通り、終盤のネタバレに入ります。

 

過去作品(比べてばっかいるのもどうかとは自分でも思いますが)では、ストーリーのラストはほとんど胸糞悪かったり、敵役が落ちぶれるというスカッとする終わり方が多かったのですが、この「星の輝き」に関しては、落ちるところまで落ちたララが尚もビル建築において野心を抱き続ける描写、そしてその傍には夫であるフィリップ・アドラー。笑い合う二人……こんな幸せな終わり方は(私が読んだ中で)いままでなかったので、思わず「えぇ…(歓喜)」って声が出ました。

 

我々は続きを垣間見ることはできませんが、我々の知らないところで、ララの野心や情熱は続いていくのだなと感動しましたね。

 

私は比較的、物事には期待しないように生きて来ました。

会社勤めをしていた頃は、昇進なんて興味ありませんでしたし、上へ、上へ、なんて見向きもしませんでした。

人生において、楽観的であることを信条としていて、その気持ちは大事にしたいなと思いつつ、この作品におけるララのように、物事に対する情熱をもっと深く、向上させなければならないなと考えさせられました。

 

では、長くなったところで最後に、ララが幼心に抱いた忘れもしない詩を記載しておきます:

 

 スコットランドの愛国詩人、 ウォルター・スコット卿の詩:

  栄光の詩は愛の強さを更にうたい上げる。よこしまな結婚を強いられる囚われの恋人を、命がけで救わんとする青年騎士ロッキンバー。スコット卿の美しい韻律がその勇気を称える。

 

西を発ちし 若きロッキンバー

国一番の名馬にまたがり

携えるは愛剣ひとふり

ほかに身を守るものもなく

長い道のりをただ一人ゆく

誠の愛を胸に 恐れるものなし

若きロッキンバーよ

ああ、きみほどの騎士はいない

 

なんたる愛の強さ なんたる勇気

ああ、ロッキンバーよ

きみほどの若者はいない

 

ララは、寂しくなるといつも口ずさんだこの詩。ハンサムなロッキンバーが救いに来てくれる。それほど、下宿屋での仕事が辛かったララ。彼女にとってのロッキンバーそれこそ、フィリップ本人。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。