自称:小説家 翔子の日常

こちらは、執筆家としての日々の悩みと、投稿完了の報告を綴っていくブログです

読書感想文: 「血族」シドニィ・シェルダン(ネタバレ含みます)

九月です。

え、月一投稿ですか?って思いましたよね?

 

すみません、色々と忙しくて読む時間がありませんでした。

韓国ドラマにハマっていることは過去の投稿でお話しましたが、相も変わらずで……

 

韓国ドラマ→YouTube→日本ドラマ→小説執筆→読書

 

という優先順位が出来てしまいました。

多趣味もなかなか大変です。

 

善処しますね。

 

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では、本題に入ります。

 

今回読んだのは、タイトルにもある通り、シドニィ・シェルダン

 

「血族」です。

 

上下巻合わせて687ページと、前回読みましたゲーム達人より少なめですが、物語はさらに複雑さを極め、登場人物たちの多さでこんがらがってしまったのでスピードが遅くなってしまいました。

読み始めたのが、ゲーム達人の読書感想文を投稿してすぐくらいだったと思います。なのに、一か月も過ぎてしまいました(汗)

 

一日にいろいろなことをぶち込むより、一つの事に集中していくことを心掛けたいと思います。

 

では、あらすじに参りましょう。今回も巻末や表紙裏に記載が無かったので、オリジナルあらすじを書きます。どうぞ、

 

 世界第二の規模を誇る薬品化学会社「ロッフ社」の社長、サム・ロッフが不慮の

 事故でこの世を去った。彼の右腕ともいうべき人物、リーズ・ウィリアムスは

 その一報を緊急電話で知り、すぐさま、サムの血族たちに極秘の電報を送った。

 

 報せを受け取った、四人のロッフ社重役たちは突然の訃報に種々の反応を見せた。

 彼らは、会社の株の公開を期待していた。しかし、社長のサムは頑なに株の公開

 を認めず、ロッフ家の血族と結婚した重役たちには決められた額しか与えられて

 なかった。

 それぞれ、様々な思惑を繰り広げ、窮乏を極めていたのだ。

 次期社長となるのは社長の娘であるエリザベス・ロッフであり、彼女に多大な期待を  

 かけた。

 

 ところが、当の本人のエリザベスは、父の死をリーズから直接聞き、色々と考え

 を巡らすうちに、現実であることを受け入れ、社長になることに気後れしていた。

 しかし、ある日、別荘の屋根裏部屋にある書棚に、曾祖父の功績が綴ってある自伝を

 発見した。先祖の生き方と、「ロッフ社」の歴史を読み進めて行く内に、己の体には

 曾祖父・サミエルの血が流れているのだと自覚し、社長に就任することを決意。

 

 そしてエリザベスは父と同様に株の公開を拒否した。重役たちの期待は脆くも崩れ去

 ることになる。「ロッフ社」の真実や、父の死の真相、重役たちの思惑などが

 エリザベスに襲い掛かる。挙句には命の危機まで彼女を追いかけ回していく。

 エリザベスの運命やいかに?

 

ロッフ性の人間は皆女性です。それら女性群と結婚した男たちが重役会議の正式メンバーになっています。

それが: 

 アンナ・ロッフ×ワルター・ガスナー

 シモネッタ・ロッフ×イボ・パラッチ

 エレーヌ・ロッフ×シャルル・マルテル

 

そして、もう一人重役会議のメンバーがいます。それは、母親がロッフ家であるアレック・ニコルス卿です。アレックは売れない女優をしていたビビアンと恋愛結婚しました。

 

こいつらがね(こいつらって言うな)、とにかく出来損ないというか、人間の醜くさを集めたような人達ばっかりなんですよ。

 

ワルター・ガスナーはロッフ家というブランドが欲しいために、年上のアンナに恋い焦がれた振りをし、彼女を征服していきます。ワルターの束縛に苦しめられたアンナは次第に精神的に堕落していく。

 

イボ・パラッチは遊び人で、妻のシモネッタとは恋愛結婚だったんですが、他にも愛人・ドナテルラがおり、それぞれに三人ずつ子供を作ってしまうゲスいヤツ(しかも正妻は女児、愛人は男児。子供たちは愛してはいますが後継者として男児が欲しいとほざきやがる)。

イボとシモネッタ、そして、金を要求するために奮闘するドナテルラから逃げるように走り回る姿がとても滑稽でした。

 

シャルル・マルテル……というより、エレーヌ・ロッフがとにかく奔放で男勝り。行為を嫌がるシャルルを無理やり侵したり、牛耳って行く。そんな生活に耐えきれず、シャルルは妻の宝石を盗んで金に換え、逃げる為の投資をし始める。本物の宝石は模造させて金庫に戻すという意地汚い奴ですが、結局バレてしょんべん漏らすシーンは笑った。

 

アレック・ニコルス卿は英国下院議員で身分はやんごとなき人物って感じですが、妻の金遣いが荒いせいで、ギャングたちに借金を返すようにしつこく責められ、また、他の男たちに走る妻を捕まえて置きたいと願いながら、自分は、待ちゆく金髪の女性(妻のビビアンと同じ髪の色の女性)に行為をさせながら殺していく撮影パーティーに参加し、傍観者として自身も楽しむという一風……いや相当変わった癖を患ってしまう。

そして、この作品の真犯人でもあります。

 

リーズ・ウィリアムス。幼い頃から変わった名前と見た目で色んな人から奇異に見られますが、彼は持ち前のど根性精神で、色んな仕事に真摯に勤めていきます。大人になるにつれ磨きがかかり、夜間学校にも通って知識を得て、本当の自分と表ヅラの自分を作って行きます。

その成果は彼に大きな形として残って行きます。薬店の店長にまで上り詰め、人気販売員になり、必要もないのに薬を買い求める女性客で混雑するほどです。そこで、彼をヘッドハンティングしたのが、サム・ロッフ。リーズは当初迷いますが、だんだんサムの志に惚れ、彼の片腕として活躍していくことになるのです。

作品中で、彼の行動に怪しげな雲行きが現れますが、大丈夫です。なぜなら、小説の最初っから登場し、サムの死を心から残念に思っていたのですから。

 

この物語はエリザベス・ロッフが主人公ではありますが、下巻からは、影が薄くなり始めていきます。

それは、ロッフ社に起きる様々な事件に首を突っ込み始める、変わった性格の持ち主のチューリッヒ警察の刑事・オルニュング刑事の存在です。彼は読者と共に登場人物たちの状況や情報を精査していく登場人物です。

自分の所属する警察署の署長に嫌われており、生真面目で、冗談や常識が通じない、冴えない小男なのですが、彼には隠された能力があります。それは、コンピューターと会話し、人間の記録や経歴、逮捕歴、購入履歴を調べ上げることが出来る超常的な頭脳です。彼の力に掛かれば、色んな人間の情報が手に取るように分かるので、コンピューターを貸す人たちは、彼を恐れるほどです。

犯人のメドが立ち、エリザベスとも関わって行きます。

 

そして、最後、エリザベス・ロッフに行きましょう。

彼女は、前半に出てくるときと、過去編の彼女では全く性格が異なります。何が彼女を変えたのか、それはリーズ・ウィリアムスの存在です。彼女と彼の年齢差はこの作品中では分かりませんが、およそ二十歳は違うでしょう。彼女が女学生の時には、リーズはサムの元で働き、エリザベスを心配し、話し相手にもなってくれていました。

エリザベスは幼い頃から父の愛に飢え、父からの誉め言葉を貰いたいと必死になりますが、サムは仕事人間で、全く構ってくれません。大人になっても、誕生日の日にも無視。

「サイッテ~」と思いましたが、そのおかげでリーズとエリザベスはくっつくことになるのですが。

サム自身も、娘が憎いという訳ではなく、徐々に彼女に信用を置くようになるのです。間接的に、エリザベスに仕事のことを教えて行き、経験させていくのです。

 

最終章のネタバレになりますが、他の重役たち、ワルター・ガスナー、イボ・パラッチ、シャルル・マルテルの最後が描かれていないのがとても不思議でした。

最後のページを何度もめくりましたよね(笑)「え?これで終わり?」って。

 

多分ですが、彼等の結末は読者の想像に任せるという事ででしょう。シドニィ・シェルダンの成せる技でしょう。ゲームの達人から四作品作って行ったので、何かしらの意図があるのだと私は考えます。

それに、不思議なラストが逆に興味をそそられました。

 

如何でしたでしょうか?

 

ネタバレを含む感想文ではありましたが、それでも読んでみたいと思ってくださったら幸いです。