自称:小説家 翔子の日常

こちらは、執筆家としての日々の悩みと、投稿完了の報告を綴っていくブログです

読書感想文:「聖女の救済」東野圭吾

5月に入りました。皆様、如何お過ごしでしょうか?

 

日本はGWでしょうか? お休みの方はごゆっくり、または楽しんでくださいね。

お仕事の方もお疲れ様です! 

 

天気は例年よりは暑くないのでしょうか? iPhoneの天気予報を見ましたら、過ごしやすい天気だそうで、羨ましい限りです。

それでもご体調には十分お気を付けくださいね。

 

突然ですが、「大奥~牡丹の綻び~」および改訂が終わりました。

 

今年1月13日に修正加筆のため一括非公開にし、約3ヶ月掛けて4月20日に完成しました。正直な所、大変でした。ほんっとに稚拙過ぎて恥ずかしいほどです。それでも読んで頂いた方々には感謝しかありません!

 

完成後すぐに公開したい気持ちをぐっと抑え、3日掛けて推敲をし、再公開へ持ち込むことが出来ました。

 

書き始めてから約3年。他サイトで「如何わしすぎる」と言われて(R18設定にしたにも関わらず)運営側から非公開のレッテルを貼られてからはアルファポリス様一本で進めて行きました。

私の中でも愛着のある登場人物と突飛な設定に手前味噌ながら感心しています。

 

少しでも多くの方々に読んで頂きたいので、リンクを貼らせていただきます。

興味があれば、ぜひ!

 

www.alphapolis.co.jp

 

では、本題に入ります。

 

昨年11月に日本で購入しておりました、東野圭吾氏の「聖女の救済」を先ほど読み終えました! 少しバタバタとしておりましたね……ようやくです。

 

「聖女の救済」ガリレオシリーズ第5弾にして2作目の長編作品です。

2022年4月5日の第19刷文春文庫にて刊行された文庫本が手元にあります。

 

ひとまず、あらすじをどうぞ:

 

 資産家の男が自宅で毒殺された。

 毒物混入方法は不明、男から一方的に離婚を切り出されていた妻には鉄壁の

 アリバイがあった。難航する捜査のさなか、草薙刑事が美貌の妻に魅かれている

 ことを察した内海刑事は、独断でガリレオこと湯川学に協力を依頼するが……。

 驚愕のトリックで世界を揺るがせた、東野ミステリー屈指の傑作!

                (裏表紙に記載されたあらすじから引用)

 

私個人的な感想を述べさせていただきますと、

 

「酷い男だなぁ!!」

 

……これに尽きます。

 

妻を子供を産む道具としか考えていない男なんて、この世にいるのか!?って思ってしまいますね。

しかも自慢げに、「俺の方は(子供を作るのに)問題ない」と言うのだから呆れたものです。多分、この男、生まれる時代を間違えた気がします。

昭和や大正、もしくは江戸時代のお殿様の方が向いていると私は思いますね(?)

 

子供って、夫婦お互い協力してつくることだと思いますし、【授かりもの】で奇跡な事なんですよ。

そんな奇跡で尊い事を一方的に妻に、女性に押し付ける。そんな偉そうな男性は道徳と言うものを学び直した方がいいなと私は思いますね。

こういうことを言ってしまうと、フェミニスト!」と言われかねないので控えますね。すみません。

 

男を殺害したトリックが目を見張るものです。

「この犯罪は現実的にありえるのか?」と言わしめる方法でして、犯人の執念深さを感じます。詳しくは書けないので各々でご確認くださいませ。

 

こちらの原作は、2013年にフジテレビのドラマ「ガリレオ シーズン2」でドラマ化されました。

ただ、ドラマと原作とでは設定は多少……いや、多中違う感じがありました。

多くは省きますが、

 

トリック

犯人

ガリレオが推理をする

タペストリ

 

という他意外全く異なっていました。

他の方も仰っていましたが、設定の改変に違和感を憤りを感じました。まぁそれが原作アリのドラマ化作品の運命なのは分かっているんですけどね?

被害者の名前、主演女優の名前と同じだったので、そういう点はちょっとクスっとしましたが(笑)

 

私はドラマの方を先に観ていたので、「なんて執念深いの!?」と驚愕して、今でも鮮明に覚えています。

ゲスト女優さんの美しさと言ったら……。原作読んでいてもその方をリンクさせてしまいました。原作の方がちょっと威圧感がありましたけど……。

 

2022年9月16日に最新映画が公開されていましたね!

その時、「まだ続くんだ!」と感動したものです。三度、ドラマしてくれないか期待です。

 

 

今後の予定としましては、シドニィ・シェルダンを読みたいなと思っています。

せっかく母から譲り受けたわけですし、何せゲーム達人血族が面白かったので!

 

その他にも、「紫式部ひとり語り」という、まるで紫式部ご本人が書いたかのような小説を池袋ジュンク堂書店さんで発見したのでそれも着々と読んで行きたいなと思います。

読書感想文に残すかどうかは不明ですが、一応読み終えたら書いておきましょうかね。

 

では、これにて!

読書感想文:「小説 すずめの戸締まり」新海誠

 

ご無沙汰しています。翔子です。

皆様、お元気にしておりましたか?

私は相変わらず元気です。

 

「大奥~牡丹の綻び~」という長編小説の改訂に悪戦苦闘しております(汗)

書いたのは3年前で、自分自身でも驚いています。確か、昨年か一昨年に編集を多少ですが加えたり、読んで自分で泣いたりしていたのですが……あまりにも稚拙過ぎる内容と地の文の書き方に恥ずかしくなりました。

 

改訂して悪文にならないように何度も行ったり来たりとしています。

 

現在は非公開になっておりますが、四月中を目処に勤しみたいと思います。

 

それでは本題に入りましょう。

 

先月、日本へ一時帰国しました。

そして、ずっと観たかった、映画「すずめの戸締まり」を観てきました。

2022年11月11日に全国公開されたのですが、本数は少なくとも現在まで上映が続けられています。人気の証ですね。ロングランに感謝しております。海外へも上映され、次々とヒットしているとのこと。

素晴らしい事です。

 

もちろん、映画の感想としては、素晴らしかったです!! 久しぶりの映画というのもあり、新海誠の描く世界観には本当に惹かれます。

思ったんですが、新海誠の作品って主人公を一旦落としてから駆け上がらせることが多いですね。中だるみがありませんでした。

音楽も歌も最高過ぎました。

 

映画を観た後に、こちらの小説版を近所の書店で購入し、先ほど読破しました。

鈴芽の視点で書かれておりまして、多少苦手意識はありましたが、映画では感じ得ない心情が描かれていて、再び映画が観たくなります。

 

まず、あらすじをどうぞ:

 

 九州の静かな港町で叔母と暮らす17歳の少女・鈴芽。ある日の登校中、

 美しい青年とすれ違った鈴芽は、「扉を探してるんだ」という彼を追って

 山中の廃墟へと辿りつく。しかしそこにあったのは、

 崩壊から取り残されたようにぽつんと佇む古ぼけた白い扉だけ。

 何かに引き寄せられるように、鈴芽はその扉に手を伸ばすが……。過去と現在と未来  

 を繋ぐ、鈴芽の ”戸締まり” の物語が始まる。

 新海誠監督が自ら執筆した原作小説!

               (裏表紙に記載されたあらすじから引用)

 

 

この小説は映画公開前の2022年8月24日KADOKAWA(角川文庫)から刊行されました。手元にある版は第6版です。

 

新海誠監督はあくまでも映画アニメ製作者であり、小説家ではありません。

なので、言い回しに奇をてらった物、つまり、難しい漢字ばかりを使った言葉遣いが無いので、”読みやすい” ものではありました。

 

しかし、多くの小説に触れた方々にとっては多少の中だるみ感を感じることでしょう。

 

設定としては一人称のはずなのに他視点を「後から訊いた」という事に持って行くのは、なかなか勝負に出たな、と感じましたね。少し違う意味にはなりますが、一人称多視点はタブーされているきらいがあります。

 

ですが察するに、周りに多くのスタッフを抱えるのに、あえて一人称視点で書いて、それを担当編集が指摘せずにそのままでいるのには何かしらの理由があると思います。

よって、これ以上は触れないで置きましょう。

 

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草太との出会い、そして、先々で出会う人々との営みや環境に圧倒されつつも、その経験が主人公・鈴芽を一歩成長させた。

 

そして何より、草太の役割である「閉じ師」の務めの重さ、責任……何百万人の命を救うためであると知ると、鈴芽の怠惰だった人生の導火線となり、誰かのため、ひいては草太のため、役立つことをしたいと思うようになった。

 

二人の成長の物語であり、大きな地震を治める方法の期待と不安の物語でもあると私は思うのです。

 

これから起こるとされる、南海トラフ地震、そして首都直下型地震。日本という国が四つのプレートの上にあることが、不運なのか必然なのか、真相は神のみぞしるというところでしょうか。

一人でも多く助かる何かしらの方法を、我々自身が見出さなければなりませんね。

 

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ここでちょっとした与太話:

私個人の問題であるのですが、小説を読まないと途端に書けなくなるという現象が起きます。

元々、そんなに日本語が得意でないというのもありますが、少しの章を読めばすぐに書けるという特異体質(そんな特異点いらないww)があります。

 

頭の中に残る、諸先輩方の書き方の癖、読む時のスムーズさがあるからだと思います。

未だに ”自分の小説” を書けていないように感じます。

 

色々プライベートの事が重なって、書けないも読めないも日もあるので、四月からは気を引き締め、スケジューリングの強化を努めます。

読みたい物も、書きたい物もあるので!!

 

時間は掛りますが、楽しみにして頂けたら嬉しいです!

 

読書感想文:「新参者」東野圭吾

皆さん、こんにちは!

 

翔子です。

 

2月になりました。

申し訳ございません、開始早々謝罪致します。

まったくもって本を読めていませんでした。

 

理由……というか言い訳といいますか、丸々1ヶ月間ずっと忙しく過ごしていたのです。

現在、「大奥~牡丹の綻び~」に手を加えておりまして、まったくもって駄作過ぎて恥ずかしいかぎりです。

それなのに読んでくださった方もいらっしゃるので本当に感謝でしかありません。

 

改訂版の「大奥~牡丹の綻び~」は長くなってしまいますが、再公開するまでお待ちくだされば嬉しいです。

 

では、参りましょう。

先日の投稿で申し上げました「新参者」の読書感想文を書いていきたいと思います!

 

以下あらすじをどうぞ:

 

 日本橋の片隅で一人の女性が絞殺された。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎の前に

 立ちはだかるのは、人情という名の謎。手掛かりをくれるのは江戸情緒残る街に

 暮らす普通の人びと。「事件で傷ついた人がいるなら、救い出すのも私の仕事です」。

 大切な人を守るために生まれた謎が、犯人へと繋がっていく。               

                 (裏表紙に記載されたあらすじから引用)

 

2004年8月号の小説現代講談社初出。

以後5年間にわたって9作の短編が同誌に連載され、そこから2009年9月18日に講談社から単行本が刊行。

2013年8月9日に講談社文庫版が発売されました。

手元にあるのは、2022年4月7日第28刷版です。

 

『加賀恭一郎シリーズ』8作目であるこの作品。

日本橋周辺(人形町小伝馬町)を舞台に物語が展開され、刑事にしてみればシャツの上に半袖シャツを羽織るというラフな格好で聞き込みを行う変わった見た目ながら、持ち前の人懐っこさや時折白い歯を見せて捜査をするその姿に町の人間は心置きなく捜査に協力的になる。

 

その着姿に上司は舌を巻くも、彼がこのような姿でいるのは、スーツだと警戒心を持たれてしまい、関係者もとい証言を得ずらいと考えたうえでの行動なのです。

 

一見、事件に何ら関わりが無いということでも、加賀刑事は追求することを止めない。

新しいキッチンバサミがあるにも関わらず購入された新品のキッチンバサミ。

現場に残された一つだけに入れられたワサビ入りの人形焼き。

被害者の元夫が匿う女の正体と不倫疑惑。

桜の柄が施された贈り物らしき夫婦箸。

時計屋主人の謎の言動と行動と犬。

上司の刑事に隠された思惑。

保険外交員の空白の時間。

廻らない独楽の謎。

誤解。

 

ただし、関わりが完全にないとは限りません。それによって被害者が殺された時間や状況を明らかにされる証拠にもなるのです。誰もが無駄だと思って見落とすシーンは実は無駄ではないという、加賀刑事の刑事力を感じられます。

 

物語の運び方は、元は連載小説の短編を集めて成された一つの作品であるからか、それぞれのタイトルの人物がメイン・語り手として描かれており、その人物の事情や悩みがポロポロと読者が知るところとなり、同情に思わない瞬間はありませんでしょう。

 

『加賀恭一郎シリーズ』といいながら、加賀刑事が完全なる主人公というわけではないということをまざまざと押し付けられる気分ですね。

もちろん、本質はミステリーであるため、各章で起きた様々な謎などを加賀が解決していくというスタイルが、決められたセオリ―です。

 

そのスッキリする感覚が、読者に爽快感を与えたのか、このミステリーがすごい! 2010】並びに週刊文春ミステリーベスト10】で1位を獲得したわけなのかなと推察します。

 

 

2010年4月期にTBSにて同名ドラマ化されました。

主演は阿部寛氏。

ガリレオ』『流星の絆』同様、ドラマを先に観たため、そのイメージが強く、読んでいて阿部寛さんの顔ばかり出てきました(笑)

まあ、ほとんどのキャラクターがそのドラマの役者さんに重ねてしまいましたけれど。

 

小説とドラマの違いといえば、ホント細かいところですね。

 

ドラマではいつも傍に、溝端淳平さん演じる松宮脩平(まつみやしゅうへい)という若い刑事もとい加賀の上司で従弟がいるのですが、今作では登場しません。『加賀恭一郎シリーズ』に初登場するのは前作の『赤い指』からです。

 

黒木メイサさん演じる青山亜美が原作ではとある人物の恋人役という一キャラクターでしかないのですが、ドラマでは、加賀の大学の後輩でありタウン誌の記者という設定。

 

その他にも、章ごとの大まかな展開や設定、構図がわずかに変わっていたりするのですが、なんら違和感は感じませんでした。……って当たり前か。

 

終盤のシーンについて少し一言……

 

犯人の供述記録が地の文(?)台詞地の文(?)みたいのがつらつらと書かれていました。まるで我々読者が、実際の供述を読んでいる、または聞いている感覚がありました。

あれはなかなか長ったるいというか、何度も空を見つめました。「長っ!」って(笑)

それが東野圭吾氏の仕組んだ書き方なら文句はもう言いませんが、あれが正しい方法なのかどうか怪しいものですね。よく、地の文を参考文献として拝借することがあるのですが、これは参考に出来ませんね。

 

私だったらこう書きます:

加賀と他の刑事たち同士で証言の掛け合いみたいなので展開される真相と犯人の供述という運び方。であれば面白く読めたんではないかと思いました。

まあ、人によっては真相を知りたいというのが第一なのでしょうね。

 

愚痴ってしまいました。失礼しました。

 

今月2月は1月よりも忙しくなりそうですので、しばらくは投稿できないかもしれません。ご了承ください。

 

追々、その訳についてまた投稿します!

 

では、それまでお元気で!

 

新年のご挨拶

 

新年あけまして、おめでとうございます!!

 

さぁ、三が日もありませんので、今日から始動でございます。

 

 

次回の「読書感想文」は、東野圭吾氏の「新参者」でございます。

2010年にTBSで放送された金曜ドラマ「新参者」を思い出しますね。

こちらも、「流星の絆」同様、原作とドラマでは相違点が多いらしいのですが、小説は小説として、頭の中にドラマのメインテーマを流して読みたいと思います!

 

母から譲り受けた、シドニィ・シェルダンの小説も読みたいので頑張りたいと思います。今年こそは。

 

今後とも変わらずどうぞ、よろしくお願い致します!

 

 

読書感想文:「人間じゃない <完全版>」綾辻行人

年末ですね。

皆様、どう過ごされていますか?

私は、実家の島には帰らず、この小さな島で過ごすことを決めました。お察しの通り、味気ない生活を送っていますが、充実していますよ。

なにせ、小説を読んで、小説を書いて過ごしているのですから。

 

ある時ふと、小説を読みたいなと思って収納ボックスに入れていた、

「人間じゃない <完全版>」を手に取りました。

単純な感想だと、「面白かった」です。

辛辣な感想だと、『館』シリーズより、読み劣りは若干感じました。

 

それはまあ、私個人が未だ読んだことの無い、既に刊行された話の後日譚であったりするので読み劣りしたのかもしれません悪しからず。

 

1日で読み終えました。長編ではないので、スンと入ったのもあるのかもしれません。

だからと言って単純ではなく、三人称一元視点で書かれているからか、スラスラと読めました。

自分自身、三人称一元視点の書き方が好きで、よく用いてるんですけど、なにかと右往左往しがちで……そこが最近の悩みごとですかね。来年は小説をたくさん読んで行きたいです、すなわちたくさん買わなきゃならない。

さぁ、つらつらと悩みを吐露するのは止めにして、あらすじに参ります!どうぞ!

 

 かつて異端の研究者が住み、謎の死をとげた<星月荘(せいげつそう)>。

 今や廃屋同然のその家を若者たちが訪れた夜、ドアに八つの鍵がかかった密室内で

 世にも凄惨な事件が勃発する! 表題作のほか、「赤いマント」「洗礼」など

 単著未収録の作品を網羅。異色の実名小説「仮題・ぬえの密室」を追加収録した

 増補・完全版。

                 (裏表紙に記載されたあらすじより引用)

 

 

2017年2月に講談社より刊行した「人間じゃない 綾辻行人未収録作品集」の文庫版で、2022年8月に「人間じゃない <完全版>」と改題、追加収録された一冊です。

 

10月に日本へ帰国した際、池袋ジュンク堂書店さんにて、「十角館の殺人」を手に、もう一冊欲しいなと思って見つけました。

表紙絵がとてもおどろおどろしく、気後れを感じながらも、最近発売されたものと知って勇気をもって手に取りました。

 

収録作品は以下のとおり、

 ー 赤いマント

 ー 崩壊の前日

 ー 洗礼

 ー 蒼白い女

 ー 人間じゃない─B〇四号室の患者─

 ー 仮題・ぬえの密室

の6作が収録された短編・中編集。

 

ミステリとホラー作品を多く著してる綾辻行人氏の成せる技と言えようか、『館』シリーズしか読んでこなかった私は、小説を読み進めていてすべて驚きの連続でした。

【赤いマント】【洗礼】、そして、【仮題・ぬえの密室】はおなじみミステリと呼べますが、【崩壊の前日】【蒼白い女】人間じゃない─B〇四号室の患者─】はホラー要素が強めで身の毛がよだちました。

 

特に言及したい話は、【仮題・ぬえの密室】です。

この章では、綾辻行人我孫子武丸有栖川有栖歌野晶午法月綸太郎麻耶雄嵩山口雅也(敬称略)が実名で出てくる、虚実ないまぜの小説。(見開きの綾辻氏談)

 

「ぬえ」という言葉が出てくる「犯人当て」の作品を四人の同期作家らが追求していく話。

綾辻氏の人柄と小説家仲間の我孫子武丸氏と、法月綸太郎氏との掛け合いがリアルに垣間見えました。

ご本人たちの性格は存知ませんが、上記の氏らと交流を持つ、巻末の解説を寄稿した

新井久幸氏によれば「目の前で繰り広げられているとしか思えない臨場感」らしいです。リアルなんですね。

 

奥様の小野不由美氏も出てくるのですが、奥様のことを綾辻氏は「同居人」と地の文中で表しているのが、ちょっと笑ってしまいました。

しかも、綾辻行人ペンネームなのに「綾辻さん」「小野さん」って呼び合ってるのがかわいらしかった。まあ、一応は小説だし、本名で呼んでいたとしても明かさないですよね。関係ないです、忘れてください←

 

ここでよもやま話、

犯人当てとは、綾辻氏らが在籍していた京都大学推理小説研究会(通称「京大ミステリ研」)で行われる、伝統行事と言われているサークル(?サークルと表して適当なのかどうかはしらん)。

1974年に創設されてから、2017年当時まで第487回続いている

 

会員が、持ちまわりでオリジナルの犯人当て小説を書いてきて、例会で発表する。

「問題篇」だけが示され、参加者に対して「さて、犯人は誰か?」という「挑戦」を突き付ける。いうなれば犯人当てゲームですね。

この【犯人当て】で、会員の力を示すことが出来るうえに、ロジックがヌルかったり、犯人の動機が甘かったりしたらば、指摘を受けて、これから先書くミステリに改善を施すことが出来る良い機会(個人差あり)。

 

私的に、日本の学校であったり、小説を書く交流会というものに縁が無いので、とても羨ましいなと感じました。

社会人でも、参加できる交流会等ってあるのでしょうか?

気になります。

 

これで、今年最後の「読書感想文」となります。来年も書いていきたいと思います。

 

皆様、よいお年を。

2022年ことし読んだ小説たち

「気が向いたら、日常の過程を書いてみたりしますか」と先日の投稿で言っておきながら、もう20日以上経ってしまいました。

 

実は21日ごろから3年ぶりに鼻風邪がひどくなりまして……ひっそりと過ごしていました。

体調と食欲はあったので、寝込むというほどではありませんでした。いつものように、午前2時に寝たり、更には4時に寝る日などもあったりして。

不規則な生活ですね、まったく。

 

そんな生活をしていたせいか、一週間治るのに掛りました。

 

コロナ過になってから風邪などひいてなかったのですが、こちらの島では、最近、天気の悪い日が続いて、常夏の島だというのに、エアコンを切らないと寒いという具合。

それでいて、寝る時はつけっぱなしで寝るので、それも影響してですかね。

 

いやぁ、久々の風邪キツかったです、鼻水が止まりませんでした。

鼻水が止まったと思ったら、今度は酷い咳。「ゲホッゲホッ」という咳でした。痰が絡む具合の。

風邪を引いても煙草は吸いたくなるので、吸うんですが、なんの味もしないし、痰の匂いが鼻を伝ってくるのでちょっとは禁煙出来たと思います。

(まあ今も吸ってるんですけどね(笑))

恐ろしいですまったく。コロナじゃないだけが救いでした。

 

 

さて、ここからが本日の本題です。

 

ことし2022年に読んだ、小説を振り返りたいと思います。

 

 流星の絆東野圭吾

 「南九州殺人迷路」西村京太郎

 「ゲームの達人」シドニィ・シェルダン

 「血族」シドニィ・シェルダン

 「探偵ガリレオ東野圭吾

 「有頂天家族森見登美彦

 「十角館の殺人綾辻行人

            敬称略

 

以上に加えて、先日読み終えた短編・中編集の計8作品読みました。

1年に10作は読みたかったですが、なかなか私用が忙しくて……って言い訳くさいですね、すみません。

 

ここ3年で、読むスピードがはやくなった気がします。

自作の小説の推敲をしていたというのもあって、速読しなければならない状況が関係してるのかもしれませんね。

 

今年は(少なくともこんな拙い読書感想文を読んで下さった皆さんに向けて)ありがとうございました!

来年も性懲りもなく【読書感想文】とは呼べない読書感想文を書いていきたいと思いますので、よろしくお願い致します!

 

先日、1日で読み上げた小説があるのですが(上記で述べた短編・中編集)、明日の投稿で納めとしようと思います。

 

お楽しみに!

 

では、また来年!

読書感想文:「十角館の殺人」綾辻行人

 

館シリーズの序章であり、作者のデビュー作、そして、新本格ミステリーブームを引き起こした気鋭小説!

 

十角館の殺人

 

ようやく読むことが叶いました。

9月末から一か月間、日本へ帰国した際に、書店で買い求めました。

その時、母から聞いたのですが、所持していたけど誰かに貸したままで返って来ていないとのこと。初耳でした。借りパクは行けませんで!←

 

一昨日夕方、館シリーズの序章ともいうべきひと頁を開いた途端に引きずり込まれてしまい、通算1日で読んでしまいました。

 

とにかく、「これがすべての始まりか」と納得の行く世界観でした。

 

綾辻行人氏自身、【〈新装改訂版〉あとがき】で申されていました:

 

 若書きゆえに至らなかったあれこれも含め、細やかな手直しをしたいと考えたわけ

 なのだが、いざ取りかかってみるとこれが、思いのほか神経のすりへる仕事だった。

 いかんせん二十年前、二十六歳の時のデビュー作である。(中略)

 

直したいところは数多あったがそれでは別物になってしまう、とも仰っておりました。

小説家たるもの、たとえプロであっても自身の小説を読み直したり、改訂版を出版社から依頼された場合のチェックは身の毛のよだつほどの ”おそれ” と 多少なりの ”嫌悪” の感を抱いているのだと知って、どこか救われるような気持ちになりました。

 

私はネット小説でしか書いていませんが、手直しを自由にできるからという甘えで、誤字脱字のまましばらく公開されていることにショックしかありませんでした。

指摘してくださっても結構ですよ!

 

「翔子さん! 某頁の何某行の字が間違っていますよ! 地の文もおかしいですね!」

などなど……気軽に教えて下さい!

お待ちしています!

 

www.alphapolis.co.jp

 

 

では、恒例となりました、あらすじをご紹介します:

 

 十角館の奇妙な館が建つ孤島・角島(つのじま)を大学ミステリ研の七人が訪れた。

 館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。

 やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を

 待ち受ける! 

                (裏表紙に記載されたあらすじより引用)

 

感想ブログを書かれた他の方の言葉を借りるならば、本作は〈ミステリーの女王〉と呼ばれた、アガサ・クリスティ著のそして誰もいなくなったオマージュした作品と言えます。

綾辻行人氏自身、数々の本格ミステリ作家の小説に造詣が深く、クローズド・サークル、見立て殺人が物語の題材となります。

 

ミス研の大学生たち、彼等が次々に殺害されて行く恐怖と不安。

・犯人はこの中にいるのではないか? しかし皆、口を揃えて否定し、島には七人しかいないはずと考え、お互い信用できずにいる。

・次第に、中村青司が青屋敷炎上において生き延びていると考えだし、おののく学生たち。

・どうあっても連絡手段が取れない、実質的な巨大密室

・終盤で明かされる ”とある人物” の正体。

 

興奮が止められませんでした。

その ”とある人物”の正体がある一頁で明かされ、自問自答を繰り返しました。おおよその見当はついたものの、その地の文の書き方に全身の鳥肌が立ちました。

 

しかし合点がいかないことを一つ言ってよろしいですか?

最終的には、真犯人自身が殺害の動機を語るのですが、それで推理小説と言えるのかなと。地の文の中で語られているので、探偵や刑事にその旨打ち明けるシーンが無いのです。

それが新本格ミステリというものなのでしょうか?

 

そしてその流れで、もう一つ。

私個人的に、島田潔(しまだ・きよし)というキャラクターが好きなのですが、館シリーズの初登場たる、島田潔の影が少し薄いなと感じざるを得ませんでした。

 

エピローグにおいて、メインの登場人物たる島田がまるで蚊帳の外に取り残されたような扱いを受けていて、読後感が 「水車館以降」と比べて悪かったように思いました。

彼自身が解決するシーンが無いのです。

彼自身の考えを江南孝明(かわみなみ・たかあき)に語るシーンは随所にあったり、”なにか” に感づいてるという描写があるので、そちらに関してはとても良かったです。

ですが、島田潔がメインじゃないのか? と疑問を感じずにはいられませんでした。

 

しかし安心してください(?)、とうに、読者の声を聞いてか聞かずか、はたまた綾辻氏の謀なのか、水車館の殺人からは、推理するシーンがあります。

島田潔がホームズ役ということではなく、あくまでも読者と寄り添いながら推理していくというのがキーなのでしょう。

 

少なくとも、私はそう感じました。

 

 

 

こうして小説感想ブログを書くからには、「読んでみてほしい」「面白い!」という褒め事をつらつらと語るのが正解なのかもしれませんが、私はそうしたくありません。

はっきり言うべき事ははっきりと言う

それが小説を読んだうえの「感想」というものではないでしょうか。

 

 

 

島田潔のことが好きだという突然の告白をしでかしたところで、彼の初登場シーンを少し紹介しましょうか。

 

ワトソン役的位置づけの江南との初対面のシーンでもあるのですが、某宅の揺り椅子に腰かけていた島田が、江南が「推理小説クラブの人」であると、ある人から紹介されたことで、島田は少し興奮気味に椅子から立ち上がった。すると、椅子が揺れた拍子に島田の足に椅子脚がガタンと当たり、痛がってまた椅子に落ちるシーン。そういう些細な描写が可愛い

 

そしてまた、江南に自身が寺の三男坊であると自己紹介し、「ミステリを読んで中で死人が出るたびにお経をあげるくらいしかすることがない」と言って殊勝げに合掌するシーン。そんなことされたら、笑ってしまいますよ!

 

カッコイイのに、茶目っ気たっぷりだし、十角館の殺人で子ども好きということが判明しました。ユーモアがある性格が素敵です。釣りをする子供の邪魔をするという描写も江南目線で描かれてありまして、「絶対現実にいたらモテる人だ」って思いました。

 

今作では島田の次兄が初登場するのですが、またその次兄もユーモアがある方で。警部という身分なんですが、なにかと事件と関係無さそうなことに興味を示す所なんて正に似ています(笑)

 

 

 

 

 

続いての読書感想文ですが、予告はあえて言わずに置きたいと思います。

何故ならとにかく、書きたい小説を書くことに専念したいと思います。

 

今年中には作品を完結に導きたいと考えていたのにこのザマです。

 

少し日常の過程を書いてみたりしますか。

 

気が向いたらまた投稿します。それまで、皆さん、良い小説ライフをお過ごしください。