本日は、タイトルにある通り、蓮見圭一氏の作家デビュー作、
「水曜の朝、午前三時」の感想を述べたいと思います。
突如として始まったこの『読書感想文』ですが、ネタバレ無しで、ただの自己満を垂れに垂れて行きますので、気軽に読んでくださいませ。
昨夜ふと、小説を読もうと経営するレストランの本棚にあった、カビと埃にまみれ、更にはブックカバーの外れた丸裸状態の一冊を手にした。何故手にしたかは極単純で「タイトルに惹かれた」からでした。
誰が所持していたか知れないこの小説。叔父の物なのか母の物なのか、はたまた店のお客さんの物なのか……。それを忘れ去る程に、何故いままでこの小説を知らなかったのかと後悔してしまいたくなる様な物語でした。
念のためと言ってはなんですが、大まかなあらすじを少々……
45歳の若さでこの世を去った翻訳家で詩人の四条直美が、危篤に陥る二週間前に、娘の為に遺した四巻のテープ。そこに語られていたのは、大阪万博のホステスとして働いていた23歳の頃の直美と、外交官として将来を渇望されていた理想の恋人・臼井礼との燃える様な恋物語を綴る回顧録。
~もし、あのとき、あの人との人生を選んでいたら……~
失われたものはあまりにも大きい。愛と切なさと歓びが心に沁みるラブストーリーだ。
(Google Books 様 引用)
はっきり言います。
あらすじだけでは物語の本筋は読み取れません。大体の小説はあらすじで知り得てしまうものがほとんどだと思います。けれど、この「水曜の朝、午前三時」は、あらすじだけで読んで、分かったっと思わないで欲しい。
タイトルを読んだだけで、「水曜の午前三時に何かがあるんだろう」と捉えている人は、即刻マスクを付けて書店に行って手に取って欲しい。
恋をした事がある人なら必ず共感してくれるはずです。
私は平成7年生まれの25歳です。偶然にも、この物語に登場する過去の四条直美と同年代です。彼女が経験する恋模様は、私の物と似通う所があり、とても共感出来、初めて涙を流した小説で、初めて1日で読み上げた、初めて尽くしの小説でした。
この小説の本筋に欠かせないのは「大阪万国博覧会」。
もちろん行った事は無いし、平成7年生まれの私が思い浮かぶ万博は「愛知万博」と答える程、記憶には無かった。
しかし、この小説を読んで、行った事ないのにまるで行った様な気分になる、そんな蓮見氏の書く言葉の一つ一つが繊細で丁寧にして初めて書いたとは思えない程、詳細な内容だった。
当時としては近未来的だったテーマに多くの来園者の心を掴んだだろう「大阪万博」。
委員会の決まりで、閉園後には解体される事になってはいたが、岡本太郎氏が制作した「太陽の塔」は記念物として残される事になり、同時に跡地も「万博記念公園」として整備される事になった。
大阪のみならず京都も物語の重要な場所として現れます。その細かい描写は読者の心を一気に物語へと引き連れて行く事になるはずです。
そして言葉の節々に、読者の気を引く様な要素が多くちりばめられ、名言も多数ありました。思わずそれを書き留める程、私はこの小説を気に入りました。
物語の主題でもある、直美と臼田の恋愛模様。人によっては理解し切れない所もある一方、数々の恋愛をしている人には共感出来るものだと思います。
私もその後者の一人でした。一度も恋人が出来た試しはありませんが、恋愛はたくさんして来ました。その恋愛の一つに引っ掛かり、私は涙が止まらなくなりました。
まさに紆余曲折……直美がテープを吹き込むほど娘に伝えたかった事がこういう真相なのだと、そして、意外な展開に読者も驚き、安心すると思います。
そして、タイトル「水曜の朝、午前三時」の真相と意味も……。
令和になった現代、今では想像できない程、物語中の法律と環境に驚くかもしれませんが、是非、手に取って読んでみてください。
初版2001年11月に刊行され、ハードカバーから文庫本になり、2003年当時で第17版にまで至っているほどのベストセラー(2020年現在は特定不明ですが、表紙の一新も鑑みて20版以上となっているでしょう)を記録しています。
人によっては理解が難しく感じてしまい、何が言いたいのか分からないという方も多いでしょう。
しかし!!!
「ベストセラー……さぁ、如何なるものか……」
と身構えないで頂きたいです。
私は読み始めて半分で、ネットで調べて、「ベストセラー小説」だと初めて知ったのみも関わらず、ハマって行ったのですから。
他のベストセラー小説と一緒にしない様にお願い致します。
以上、感想文になっているか不安ですが、感想文でした!(笑)
また色々書いて参りますので、シェア、コメントお待ちしております!
宜しくお願い致します!
P.S.
やっぱり紙の本はいいですね